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2017/09/17 (Sun) 01:49
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(28)

(来た!来たよマーリフ、最後の最後で遂に来た・・・)
(どどどど、勇者どうしましょう?彼女、本当に来ちゃいましたよ)
(お、落ち着け、まず落ち着け。過剰な期待は禁物だ、
絶対に冷やかしに決まってる)
(そうですね、きっと有給休暇がどうのと小難しい事を言ってくるに違いありません)
(ど、どうする、兎に角面接を・・、志望動機から始めるか?)
(いや勇者。我々は面接官です。
必要とあらば、どんな質問だって彼女に出来る。
そのような権利を我々は持っているはずです!どうせ冷やかしなら、どうせこれっきりなら、普段は絶対できないような質問を彼女にぶつけてみませんか!?)
(ふ、普段は出来ないような質問!?
それはひょっとして今日履いている下着の色とか、お風呂に入った時、体のどこから洗うのかとか、そういった類の質問のことかあっ!!??)
(勇者、あなたはアホですか!?そんな露骨な質問をしたら我々が学校から立ち去った後、“あの勇者の人たち只の変質者だった”とか悪い噂が立ちかねませんよ・・)
(じゃあ、どうすんだよ!?)
(と、とりあえずですね、スリーサイズを聞き出しましょう!身長、体重、視力、基礎魔法力、その他諸表諸々と一緒に混ぜて質問すれば、絶対に怪しまれることはありません!(←十分怪しいわ!)
あくまでもさりげなく、事務ライクに聞くのです)
(うおおおスリーサイズ!滅茶苦茶聞きたいぞ。
よし、その手で行こう。
マーリフ!俺は今ほどお前の事を頼りになる奴だと思った瞬間は無い。いや流石大魔導士デストラーデの弟子!)
(こんなところで私にヨイショしても何も出ませんよ。
それより一刻も早く、彼女に質問を!)
すっかり鼻息の荒くなった我々が、慎重に、それでいて大胆に
「それでは、身長、体重、スリーサイズを・・・」
と彼女に問おうとしたまさにその瞬間であった!

「はい。それじゃあお前さん、志望動機から最初に聞かせてくれ」
ああっサムスン、なんでお前が先に質問するっ!?

2017/09/10 (Sun) 17:14
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(27)

コン、コン・・

それから間もなく、彼女は現れた。
「どうぞ~~」

もう10人以上も同じような応対を繰り返し、すっかりルーチンワーク化して油断し切っていた俺たちは、ここで一気に目を覚まさせられることになる。
「失礼いたします」
開いたドアから先ず、俺達の目に飛び込んで来たのは、
なんと過剰なまでに膨らんだ2つ丸い物体!
(!!!)
(オッパ・・!!)
ここでいきなりド肝を抜かれたのだが、
続いて、他のモブ学生どもと格の違いを見せつけるようなスラリと伸びた長い脚と、シルクのようなサラサラのロングヘアが、ふわりと室内を舞う。
(まさか・・)
(信じられん・・、この土壇場で・・)
そして、伏し目がちに部屋に入り、我々の前に進み出た彼女は深々とお辞儀をし、ゆっくりと顔を上げた。
そう、そこには先ほどから俺たちが何度も〃〃話題にしていた例の美少女が立っていた。
palcoslas

「パルスィート=オプジーボと申します。どうぞよろしくお願い致します」
来たあああああああああああああああああああああ!!!

2017/09/03 (Sun) 21:56
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(26)

「よ~~し、やっと14人目終わった畜生め」
「私、もう肩凝っちゃってバキバキですよ・・」
「どうよ~~、いたか?少しは使えそうな子」
ある程度目星はついているのだが、一応聞いてみるオレ。
「まあ・・7番と、10番がなんとか・・・」
「それにしたって、
“よっぽど困ってるなら一緒に行ってあげてもいいですよ”的な、
何とも微妙な感じだったぜえ、役に立つのかね」
「まあ、その辺は我々側でよっぽど気を付けて大事に育て上げるしかないでしょう。
新人の育成も勇者の大事なお仕事です」
「自分たちは即戦力を求めてるんだがな・・」
「ああ~~、それにしても」
マーリフは大きくため息をついた。
「件のボインちゃん、結局来なかったですねえ・・」
なんだかんだで結構、落胆してるマーリフ。
まあ気持ちは分かる。
俺も最初のうちは少しは期待していたのだが、学生たちの反応があまりにも悪いので、とっくに諦めたよ。
「だから自分が言っただろ?あんなふにゃふにゃしたのはアテにならんと」
悪態を付くサムスンを無視して、マーリフは最後のエントリーシートに目を通していた。
途中から奴の目が真剣なものに変わっていくのが表情から見て取れた。
「勇者、見てください。次の子めちゃめちゃ優秀ですよ。卒業後の進路が王国の近衛兵団に入隊が決まってます」
「へえ、凄いじゃん・・て、そんなんじゃ余計に俺たちのとこなんか来てくれないよ!
ま~た待遇がどうのこうの言われるのが、目に見えてんじゃんかよ!」
「まあ、そうかもしれませんが・・、どんな子なのか見ておくだけでも価値はありますよ」

2017/08/27 (Sun) 01:34
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(25)

・・・・・・・・
「おい~~~~ぃ」
「駄目だ、話が全っ然嚙み合わねえ!」
「校長から言われてワケ分からんまま、無理矢理参加してるってのを隠そうともしてなかったですね・・」
「だ~から自分は最初から言ってたんだ、学生なんかアテにしても役に立たないから止めろって」
「結局、ここの子たちって、卒業後に行くとこ殆ど決まっちゃってるんですよ。
だから我々が後からのこのこ勧誘しに来ても、今更って話になってしまうという・・」
「ひょっとして皆がみんなこんな感じかあ?ヤバイな。
こんなんじゃ無理矢理連れ出したとしても、正直3日ともたんぞ・・」
「兎に角、色々質問しても無駄だという事がこれでハッキリしました。
もう質問は、志望動機とやる気があるのかないのか?
これだけに絞りましょう」
「苦労してここまで来て、収穫ゼロでは全くシャレにならん・・」
「気を取り直して、そろそろ次の子来ますよ・・」

コン、コン・・


「はい~~、次の方どうぞ!」


面接はこの後、2時間ほど続いた。
そして、大した手応えも感じないまま、
遂にオーラス。15人目を迎えた・・

2017/08/20 (Sun) 20:20
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(24)

「お前さんあのな。
お前さんが何を言いたいのかよく分からんのだが、
今は有事なんだから少々のことは我慢してもらわんとな。
そりゃあウチは楽じゃないよ?
だって大魔王を倒しに行くんだもん。
大体、いい若いモンがそんな安定志向でどうすんだ!?もっとビッグな夢を持ってだな・・
ウチはキツイ分だけ見返りも大きいんだから、
ほらアレだ!マーリフ、こーゆうのハイアンドローじゃなくて、なんとか・・」
「ハイリスク・ハイリターンですか」
「そうだよ、そのハイテンションだよ!
兎に角、晴れて大魔王を倒した暁には、王国から最高の名誉と莫大な褒美が与えられるのは間違いないんだ!
それに比べりゃ、やれ後方勤務だお給金がどうだとか大した問題じゃねえだろ!?」
『はあ』
「要はやる気と気合の問題なんだな、お前さんやる気はあるのか!?」
『・・・・』
「気合とやる気はあるのかっーーーー!!!?」
『は、・・ハイっ、あります』
あ~あ、この子また空気に流されちゃって・・
「よおし、結果は後ほど通知するからな~~、本日はもう帰っていいぞぉ」
『は、はい、ありがとうございました・・・』
彼女は「失礼します」と軽く会釈をすると、逃げるようにして会場から立ち去った・・

ドアが閉まった後、しばし静寂に包まれる面接会場・・・

2017/08/11 (Fri) 07:41
ゆうしゃのぼうけん ~回復術者を新卒採用せよ~(23)

最後の質問はマーリフが行った。
「それでは最も重要な質問を致します。
我々は大魔王討伐の為に旅をしています。
これは大変、過酷な任務です。
あなたにはこの旅を完遂し、
大魔王と戦う覚悟はございますか?」
彼女は少し困ったような顔をして考えたのち、
こう返答してきた。
『あの~、逆に質問があるんですけどいいでしょうか?』
「どうぞ」
『私、卒業後は正規軍への入隊が決まっていて、
正規軍ですとヒーラーは殆ど後方勤務で
兵士と比べたら、命の危険も少なくて、
それでいてお給金その他の待遇も悪くなくて・・
“勇者のパーティー”というのはそれと比べてどうなんでしょう。正規軍では・・無いですよね?』
おい~、なんだか面倒くさい事言い始めたぞ・・
「まあ、正規兵では無いですね。立場的には傭兵に近いです」
マーリフは、そう答えた。
『ですよね・・、非正規の扱いで、女性でも最前線に立たされると聞きました。過酷な任務と仰られても限度が・・
その・・労働条件とか・・』
(・・マーリフ、労働条件ってなんだ?)
(さあ・・言葉としては何となく理解出来ますが、全然ピンと来ません。
物凄く未来的な響きのする言葉です。
彼女はホントに我々と同じ時間軸の人間なんでしょうか?
それとも、近頃は学校でこんな事教えてるのか、若しくは我々の常識の方が世間のソレと著しくズレてしまっているのか何れかです)
予想だにしなかった学生からの逆質に、不覚にも狼狽えてしまった俺とマーリフ。
それに痺れを切らしたのか、何とその質問に答えたのはサムスンだった。

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